編集者の声

自費出版のトラブルに合わない為に。

本を作りたいとお考えの方に、安心して出版をお楽しみいただくための情報を提供いたします。
実際の製作現場でご依頼者より寄せられた疑問や質問を集めました。
出版に対してしっかりした認識をお持ちいただければ、自費出版は決して不安なものではありません。
ご自分の著作を持つという喜びをたくさんの方に感じて頂きたいと思います。

自費出版における一番多いトラブルは、売れると言われて本を作ったが、ほとんど売れ残り在庫の山を抱えることになってしまった。
回収金額も微々たるもので……。
という内容です。
永年、多くの自費出版に携わってきた経験から言いまして、本が売れて儲かることはほとんどないと思っています。
もちろん例外もありますので、そういった考えを100%否定するわけではありませんが、もし儲けたい、またはせめて投資した金額は本の売上で回収したいとお考えの方は、不確定な売上に期待するより、大手出版社に企画として持ち込むか、出版の懸賞に応募され、出来栄えの判断を仰いでみるのも一つの方法だと考えます。
出版社が売れると判断した作品には、費用は出版社が持ってくれます。

しかしそうでない作品は、自費出版(費用は著者もち)を勧められます。
その際、共同出版という呼び方をする場合もありますが、著者が費用を出すのであれば自費出版と何ら変わりが有りません。
共同出版という甘い表現に惑わされないようにして下さい。
次に販売はせず、小部数を作り、身の周りの方だけに配りたいというケースで起こるトラブルとしては、次のようなものが予想されます。
①本が完成した後、支払いの段階で当初より高い金額を請求された。
②内容についての希望を聞いてくれない。
③本の出来栄えが悪い。等です。
ほかにもあるかもしれませんが、いろいろ不安におもっていたら、なかなか前に進みません。
これらの解決策は実は、一つです。 それは十分信頼できる自費出版会社を選択することです。 その方法はQ&Aでご紹介していますので、ぜひ参考にして下さい。 多くの方が自分の著作を持つという喜びを感じていただきたいと切に願っています。

○事前相談編 ○

1、概算の価格だけでもすぐに知りたい


本を作りたいと考えた時、一番の心配事は価格です。
10万円なのか、50万円なのか、はたまた100万円以上するのか?
ここでまず途方に暮れてしまいます。 だいたいの標準的なお話をしますと、100部100頁(A5判、並製本)であれば、30~40万円位で、立派な本が作れます。
あとは写真の枚数やカラーの有無、製本の形態、流通の有無などにより多少変わってきます。
その他にかかるオプション価格

(例)手書き原稿ですと1文字1円の入力料金がかかります
  (原稿用紙100枚で4万字だと4万円)
   モノクロ写真1枚に付き500円の写真処理費
   カラー写真1枚に付き1,200円の写真処理費
   がそれぞれかかります
   上製本(ハードカバー)ですと10万円ほど高くなります
   ネット書店流通であれば3万円ほどプラスになります

一般書店流通ですと30万~50万円ほどプラス これくらいの見当を持って、お近くの印刷会社なり出版社なりに行って、直接相談し、見本を見せてもらって下さい。出版がぐっと身近に感じられると思います。
また遠方の会社で、これはと思うところがあれば、直接連絡(電話やメール)して、お話をし見本の本を送ってもらうのも良いです。
見本誌をみればその会社の実力が解ります。
最近は各社とも、個人の自費出版に力を入れていますので、親切に応対してくれること、間違いありません。
出版のハードルは高いようで、実はごく身近なものになっています。



2、この原稿、本になるの?


誰しもがご自身の原稿に対して、自信半分、不安半分だと思います。 書店流通をして多くの方に読んでもらいたいとか、願わくばベストセラー作家になりたいと希望され方は、出版社の編集者に原稿を読んでもらい、評価してもらう必要があります。
しかし身の回りの方だけに配りたいという方は、そこまでする必要はありません。
大事なことは、基本的な文章表現とか、差別表現、著作権の侵害などに注意をすることです。
(自費出版の場合は完成した本に対しては、著者が全面的に責任を負うことになります)
そこを押さえておけば、後は自由に希望通りの本になるように業者と交渉してみてください。
また断片的に原稿ができているが、どのようにまとめたらよいか迷って場合は、原稿を一度編集者に見てもらい、助言をもらうとよいと思います。

3、小部数(50部以下)で作りたい

一昔前は、本を作るときは1000部単位でしたが、現在は印刷方式が進歩しまして1冊からでも製作できるようになりました。
オンデマンド印刷といいます。従来のオフセット印刷と比べてもそん色ない仕上がりが期待できます。個人のかたで、身の回りのかたに配るだけであれば、50部から100部程度が主流です。印刷方式の進歩により、出版がぐっと身近になりました。

4、写真集を作りたい

写真の入稿形態でも触れましたが、基本はデジタルデータを業者に渡します。
写真集で一番問題になるのが、被写体の色合い、自宅のプリンターでの色合い、業者のプリンターでの色合いにおいてすべて色が異なる可能性があることです。
自分の納得できる色合いになるまで、調整をしてくれる業者を選びましょう。
最初から「色はなかなかあいませんよ」などというところは信用できません。
しかし、印刷で再現しにくい色合いがあるのも事実です。
印刷ではすべての色をCMYK(青、赤、黄、黒)の掛け合わせで再現します。
またオンデマンド印刷ですと、トナーで再現しますので、おのずと限界があります。
特にパステル調の色や蛍光色は再現が難しいです。
また金や銀など特殊な色を使いたい場合は別途の料金がかかります。

5.自分史を作りたい

ご自身の人生を振り返り、「自分史」にまとめることには、多くの意味があります。
①半生の振り返りは、今後の人生をより豊かにします。ただ単に思い
 出に浸るということだけではありません。人生の中でうまくいった
 こと、失敗したことは纏めることにより、これからの人生をより稔
 りあるものすることができます。
②感謝の気持ちを表すことができる。これまでの生活の中で、お世話
 になった方々に「自分史」を通して改めて感謝の気持ちを伝えるこ
 とができます。
③本作りで心と体を元気にする。1冊の本を作るには、内容を練るこ
 とから始まり、何頁もの原稿を書き上げていくなど、多くの時間が
 かかります。
さらに出来上がった本から交流が生まれることもあります。
そのような制作と交流の時間は、人生に新たな風を吹き込み、心と体を元気にしてくれます。
また、手書きでも、ワープロでも、指を使うことは脳の活性化につながります。
具体的な制作手順としては、まずは資料集めから始めます。
日記やメモ、記念写真、手紙や年賀状、卒業アルバム、表彰状等など、自分史の材料となる資料は意外と身近にあります。
まずは整理をするとともに記憶や思い出の整理をしてみましょう。
次に、書きたい時代を特定します。
誕生から現在までのすべてを書くのもいいですし、特に思い入れのある時代、たとえば、青春時代・社会人時代・夫婦の歩みなどと時代を特定して書くのもいいと思います。
材料が揃い、書きたい時代が決まりましたら、次に年表形式にして、社会や世相の移り変わりとご自身の歩みを合わせて表現すると、より分かりやすくなります。

 6、何回くらい校正がみられるのか

一般的には校正2回までは、当初の料金内というところが多いです。
それ以上でも対応してもらえますが、別途料金が発生してきます。
当初の入稿時点で、推敲を行い、以後の変更がないようにしておけばよいと思います。
つまり入稿までに時間をかけてしっかりした原稿に仕上げることが、結果としてその後の編集作業もスムーズにいきますし、余計な費用も加算されないことになります。

7、図書コードの付与について

本の裏表紙をみていただきますと、13ケタの番号があります。
これが図書コード(ISBN番号)です。
同じ番号の本は世界中どこにもありません。
つまりその本を特定する世界標準の番号です。
流通販売をお考えの方は、この番号とバーコードも必要になります。
これらは業者の方で用意してくれますので、特に心配する必要はありません。
よく質問されますのが、書店流通はしないけれども図書コードを付けてもらえるのかという疑問です。
非売品の本にも図書コードを付けることができます。
特に図書館等に寄贈する場合は蔵書整理に必要になります。
図書番号は出版社でなくても、たとえば印刷会社や個人出版専門会社、新聞社などでも出版部門を設けて、出版者登録をしていれば図書コードを持っています。
番号を付与することについて、特別の費用を取らない業者の方が多いと思います。

8、文章が作れないが、口述筆記を頼めるのか

特にご年配の方で、「自分史」をまとめたいが、文章を作ったり、パソコンやワープロを使えないという方から、いただくご質問です。  専門の編集者が取材をさせていただき、お話を聞かせていただきながら、原稿にまとめていきます。
ご自宅にお伺いする場合が多いです。
簡単なご質問にお答えいただいたり、雑談をしていただきながら文章を作っていきます。
また懐かしい写真や手紙等もお預かりします。
出来上がりました原稿は、ご依頼者にご確認いただき、正確でご納得いただける作品に仕上げていきます。
およその費用としましては、製作費以外に、出張費、取材費などで10~20万円程度かかります。

○業者決定編 ○

1、出版社と印刷会社、どちらに頼めばいいのか

出版をしてみたいと思いついたのはいいが、どこに頼めばいいのかわからない。値段・品質・編集者の対応など心配なことだらけです。
安心して頼める業者選びから始めなければなりません。
書店流通をして少しでも多く本を販売したい方は、出版社を選択することになります。
しかし知り合いや日頃から縁のある出版社などないのが普通です。
そこで新聞広告や雑誌広告などで見かける出版社にあたってみることになります。
何分一生に一冊の本になるかもしれない大事な作品です。
きれいに、しかもできれば安く仕上げたいと思います。最低でも2~3社にお話を聞き、見積もりも取ることになります。
費用はおおよそ200~300万円前後はかかると思います。
また出版社には大手から中小まであり、それぞれメリット・デメリットがあります。以下まとめてみました。

大手出版社
 ●メリット
   ①販路が確立されており、全国の書店に並ぶ。
   ②質の高い書籍ができる。
   ③宣伝力が強い。
 ●デメリット
   ①一般的に費用が高い。
   ②校閲が入り、内容の変更を求められることがある。
中小出版社
 ●メリット
   ①費用が比較的安い。
   ②きめ細かく対応してくれる。
 ●デメリット
   ①販路が弱い。
   ②宣伝力が弱い。
一方、小部数でなるべく安く収めたい方は印刷会社を選択することになります。
印刷関係の設備やノウハウがありますので、出版社より圧倒的に安くできます。
ではどこの印刷会社に頼めばいいのか。これも見当がつきません。
そこでインターネットで検索することになります。
お近くで頼めそうな印刷会社を探してみてください。
また多少遠方でも、信頼できそうなところであればお話を聞いてみるのもいいと思います。
いまはメールやFAX、電話などで十分コニュニケーションがとれる時代です。
以上のようなステップを経てやって依頼する業者にたどりつけ、出版のスタートラインにつくことになります。

2、信頼できる業者に頼みたい

聞いたこともない業者に頼んで大丈夫? だれもが思う心配事です。 以下の点を考慮すれば、間違いなく信頼できる業者にたどりつけます。
ポイント1
 価格表を公表している会社が信頼できると思います。価格表を公表
 している以上、あまりかけ離れた見積を提示する事はありませんの
 で、安心して相談できます。そしてオプション価格も忘れずに確認
 しましょう。
ポイント2
 制作実績が豊富である事。自分の考えている内容を伝え、それに近
 い見本誌がすぐに出てくる会社は実績が豊富という事で大丈夫で
 す。またできれば実際にその会社を訪問して、本をたくさん見せて
 もらうのも良いと思います。
ポイント3
 支払の大半が、完成後である事。標準的には契約時に半分、完成時
 は半分ですが、契約時30%、完成時70%で契約できる会社であれ
 ば、先ず間違いありません。
ポイント4
 編集者が的確に対応してくれる会社であること。こちらの質問に応
 えられなかったり、知識が希薄な担当者の会社は要注意です。どん
 どん質問してみましょう。
ポイント5
 担当編集者との相性。実はこれが一番大事と行っても良いと思いま
 す。担当編集者との相性。実はこれが一番大事と行っても良いと思
 います。なぜなら、本づくりは3か月以上の長期にわたります。相
 性の悪い担当者と長く付き合うことほど苦痛はありませんし、そん
 な環境ではとても良い作品ができるとは思えません。なんでも言い
 合える関係を築きたいものです。そこで契約する前に、担当者を紹
 介してもらい、コミュニケーションをとりましょう

3、遠方の業者でも安心して頼めるのか

こんな本にしたいという「見本誌」があれば、一番安心です。
それを業者に送れば同じ仕上がりにしてくれます。
ご自分の手元にある本の中から、見本になりそうなものを探してみてください。業者と離れていても、電話・メール・FAXなどで十分コミュニケーションはとれます。
近くでも条件の悪い業者より、遠方でも親切な業者をお勧めします。

4、業者の探し方

まずはインターネットで検索をして、身近に専門業者があるかどうかを確認してください。
検索は「自費出版 東京」「自費出版 大阪」等、地域名を入れると良いと思います。
またなるべく費用を抑えたい方は「自費出版 安価」「自費出版 安い」などで検索してみてください。
地元の印刷会社を探すときは「自費出版 印刷会社 東京」等がいいと思います。
つぎにヒットした業者のホームページを確認してください。
どの業者もメールでのお問い合わせができますので、質問事項を送ってみるのがいいと思います。
その対応の仕方でも業者の信頼度が図れます。
最終的には業者に訪問して、会社の雰囲気や担当者の資質を確認したいものです。

5、業者が出版を引き受けてくれない場合もあるのか

自費出版は内容を自分で決められますが、その中でも一定のルールがあり、それを逸脱している内容のものは出版できません。
代表的なものは、民法で規定する公序良俗に反する内容のものです。
また名誉棄損で損害賠償請求を起こされそうな内容のもの、科学的根拠欠いたもの、無断転載・無断引用が疑われるものなどがあります。
ご自分で判断に迷うときは、編集者にご相談ください。

6、契約書作成で気をつけること

絶対に確認が必要な重要事項は…
 ①総費用
 ②仕様(本の大きさ、予定頁数、部数、製本様式、写真の枚数な
  ど)
 ③製作期間
 ④支払い方法
 ⑤書店販売される場合は、印税やその支払い方法
  等です。
その中でも一番重要なのが①の総費用です。
と言いますのは、本の制作過程では仕様が変化し値段に影響することが多々あるからです。
その時に追加料金に納得がいくように、あらかじめオプション価格の確認もしておく必要があります。
たとえば、写真の1枚当たりの処理代金、文字の入力料金、カラー印刷の1頁あたりの金額等です。
あらかじめオプションの価格が分かっていれば、それに基づいて追加料金も計算されますので、後々トラブルになることもないと思います。

7、複数の業者で価格の比較をしたい

これは少し難しい作業になります。
と言いますのは、価格比較をするためには、制作条件を一定にしなければなりませんが、印刷方式、製本方式、使用用紙の種類や厚み、正確な頁数などを特定することは不慣れな方には無理な作業です。
そこでまずどちらか1社で見積もりを取り、制作内容の明細書を作ってもらいます。
次の業者にはこの明細書のコピーを渡し、見積もりをお願いすればスムーズにいきます。
すべての見積書が出そろえば、価格の低い業者を特定できますが、ここでひとつ気をつけなければいけないのが、価格が安いだけが業者決定の要素でないことです。
ほとんどの方が一生で1冊の大切な本だと思います。
そこで値段ももちろんですが、会社の雰囲気、担当者の資質、誠意、本づくの情熱なども大切な要素だと思いますので、価格にこう言った要素も加味して業者をお決めください。

○入稿編○

1、文字原稿の入稿形態について

一般的には、依頼者自身で文字を入力し、そのデータを業者に渡します。
しかし、パソコンが使えない方もいらっしゃいます。
その場合は手書き原稿でも大丈夫です。入力料金を別途請求されます。(1文字1円程度)
また原稿は楷書で書き、なるべく見やすいものを渡すように心掛けてください。
読みにくい原稿は後々のミスのもとになります。
全体の文字数を把握しておくことも重要です。
総文字数から全体の頁数が算出され、正確な見積もり金額がでます。

2、写真原稿の入稿形態について

基本的にはデータ入稿が主流です。
具体的には写真を撮り、デジカメやスマホからUSBメモリーにデータを移し、これを業者へ渡すことになります。
また、メールで添付して送る方法も主流になっています。
昔のプリントも大丈夫です。
自宅にスキャナーがあれば、ご自分でスキャニングしてデータ化し、それを送るのが主流ですが、できない方は、プリントのまま業者に渡しても大丈夫です。(スキャニング料金をいくらか請求されますが…)
また、写真修正の技術も進んでいます。
たとえば「顔のキズをとりたい」「顔色をよくしたい」「不要なものを消したい」などなど、いろいろできますので、業者と相談してみてください。

3、他人の著作物を引用する際の注意事項

著作権の原則的保護期間は、著作者が著作物を創作した時点から著作者の死後50年までです。
しかし、その保護期間内でも以下の要件を満たしていれば、引用することができます。
【参考】著作権法(引用)第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
(著作権法)
 ①公表された著作物であること。すでに世の中に公開されたコンテ
  ンツであるということです。
 ②引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること。こ
  こでいう主従関係というのは、自分自身のコンテンツと引用部分
  との関係であり、当然ながら自分のオリジナルコンテンツの方が
  「主」である必要があります。
 ③引用部分が明確になっていること。具体的には、引用部分をカギ
  カッコ「」や引用符で囲ったりして「これは引用ですよ」という
  ことを明確にしなくてはいけません。書籍では引用部分の前後に
  空白行を入れて、引用部分を2、3文字下げるのが慣例となって
  います。
 ④出所の明示がなされていること。具体的に何という本の何頁から
  引用と明記する。
 ⑤引用を行う必然性があること。なぜそれを引用しなければならな
  いのかという必然性です。明確な基準を示すことは難しいです
  が、内容と関係ないのに目立ちたいという理由だけで引用しては
  いけません。

 4、カバーのデザインについて

制作会社の方から、2~3パターンのデザインの提示があります。イメージの合うものをお選びください。
また、使いたい写真やイラストなどがありましたら、事前に制作会社に提示ください。
それを使ってデザインしてくれます。
費用については、業者がすでに用意しているデザインを使うのであれば、追加の費用はかかりません。
特別なデザインを作る場合は5万円程度の追加費用がかかります。

5、目安の頁数について

書籍制作費用を算出する時に、いちばん大きな要素が頁数の計算です。
つまり頁数によって編集作業の量や印刷・製本の台数、使用用紙の枚数などが分かるからです。
出版を計画する際、まず頁数の目安をつけることが、予算算出の上からも重要になります。
ワープロやパソコンで入力作業をされている方は、実際の完成状態と同じ字詰め、行詰めで入力作業をするといいでしょう。
手書原稿の場合は、なるべく400字詰めの原稿用紙に書き、その枚数で全体の字数を掴んで下さい。
そして1頁に入る文字数で割り算をすればおよその頁数の目安が分かります。また写真や図版は1頁分つかうのか、半頁分にするのかなどを考えておくといいでしょう。
実際に本になるときは、扉や目次、奥付なども加わりますので、その分も考慮して頁数の目安をお考えください。

6、費用を抑えるための入稿時の注意事項

自費出版は自分で内容を決めることができますので、考え方によって費用を抑えることができます。その節約できる点を次に紹介します。 ①頁数を減らせる要因を検討する。
 (1)全体の文字数を減らす
 (2)本文の文字を小さめにして1頁に入る文字数を増やす。
 (3)行間を狭くする。
 (4)図版や写真はなるべく減らす。
②カラー印刷を避ける。図版や写真は本文と同じ黒の印刷にする。
③上製本ではなく並製本にする。費用的には10万円前後変わります。
④カバーや帯は付けない。
⑤カバーのデザインは自分で考える。
 等です。
よく用紙の質を落として安くしたいというお話をいただきますが、制作部数が少ない場合、用紙もさほど使いませんので、多少用紙の質を落としても、費用が大きく変わることはありません。

7、PDFで入稿したい

パソコンに堪能な方が、ご自分で編集ソフトを使い完全に組版を仕上げ、印刷・製本だけを依頼される場合があります。
これがPDFでの完全入稿です。
もちろん編集費用がかかりませんので、その分安く本を作ることができます。
注意する点としては、著者側と業者側のハード・ソフトの状況の差異により、文字がずれたり、色が変わったりすることです。
このような危険がありますので、PDF入稿の場合でも業者側に面付け後の校正を出してもらい確認することは必要です。

8.校正の方法は難しいのですか

専門の校閲者の間ではいろいろ表記の決まり(校正記号)がありますが、そういった専門記号を使う必要はありません。ようはその校正紙を受取った業者側が見て分かるものであればよいのです。きれいに楷書でお書き頂き、訂正箇所は一目見てわかれば、それで十分です。  その他、校正時に気をつけることとしては、表記の統一があります。業者側でも気をつけてチェックはしますが、著者側でも再度確認してください。漢数字と算用数字や年代の表記がバラバラであれば、気になってスラスラと読み進めることができません。また記入は赤ペンで書き、修正箇所が分かりやすくしたいものです。

○印刷・製本編○

1、用紙の選定について

①カバーで使う用紙について
 1)光沢のあるもの……グロスコート紙
 2)光沢のないもの……マットコート紙
②表紙に使う用紙について
 色上質、レザック、などがあります。また色も豊富に種類がありま
 すので、見本帳などで確認してください。
③本文で使う用紙について
 1)書籍用紙……少し黄色みがかった用紙です。一般的な本文紙に
   なります。
 2)嵩高紙……ページ数が少なくても、この用紙を使えば、ある程
   度の厚みが出てきます。ページ数の少ない本にはお勧めです。
 3)コート紙……写真集などでは、写真や作品も再現がよいこの用
   紙を使います。
いずれにしても、実際の用紙を手にとって確認
することが必要です。実際に見てみるとイメージと違うということも多々あります。

2、並製本と上製本の違いについて

並製本のいいところは、軽く手軽に読めて、製作費も安いところ。
上製本のいいところは、しっかりしていて耐久性があるところです。どちらも立派な本になりますが、手軽に読んでもらいたいとか、少しでも費用を安く抑えたいときは並製本を、費用は多少掛かってもよいが、立派な仕上げにして長期間保管したいときは上製本を選ぶことになります。

3、PUR製本について

近年は製本のりの強度がかなり強くなっており、以前のように時間がたつとはがれてくるということはなくなっています。
さらに強度の強いのりがPURで、ポリウレタン系ホットメルトのりです。
このPURを使って製本しますと、本が180度開きます。
また丈夫ですので、しっかりした仕上がりになります。
費用は少し高くなりますが、見開きで写真を見せたいときや、手で押さえ付けなくても読めるというメリットから、料理本やマニュアル本などにもよくつかわれます。

4、PP加工について

PP加工は、書籍の表紙やカバーの表面にポリプロピレンのフイルムを圧着することです。
光沢感を与えるグロス加工と、つや消し処理をするマット加工とがあります。
どちらも高級感を与えると同時に、紙を保護し、水や汚れに強く、破れにくくなるなどのメリットがあります。
最初から基本価格に含んでいる業者と、オプションで追加料金が発生する業者あります。
オプションですと、およそ1冊あたり100円位の金額になります。

5、印刷方式の違いについて

印刷方式にはオフセット印刷とオンデマンド印刷の2種類があります。
コストパフォーマンスの関係で使い分けています。
だいたい300部位まではオンデマンド印刷の方が安くなります。
仕上がりに関しましては、どちらの方式でも美しい本ができますので、特に心配することは有りません。
オフセット印刷とオンデマンド印刷で作った本を比べさせてもらえれば、一番いいと思いますが、われわれでも違いはすぐには分からない程度です。

○納品編○

1.納品までの制作日数は

原稿の入稿状況によります。
一般的には文字がデータで支給され、写真や図版なども少ない場合は3か月程度で完成します。
また手書き原稿で、業者で入力作業が発生する場合はその量によりますが、さらに1か月程度かかります。
写真集や画集のように色合いの再現が難しい場合はさらに時間がかかります。
つまり各々の状況により変わってきます。

2、国立国会図書館へ献本したい

我が国では国立国会図書館法により、国内で発送された出版物は、すべて国立国会図書館に納入することが義務付けられています。
つまり黙っていても、業者の方で国立国会図書館へ献本の手続きをしてくれます。
また京都府に国立国会図書館関西館がありますので、東京のほうへ2冊送れば、自動的に1冊は関西館の方へ回してもらえます。

3、知人に送りたいが発送の代行を頼めるのか

ほとんどの業者で発送の代行を受付けています。
送りたい人や団体などの名簿と中にいれる添え状の原稿を業者に送り依頼してください。
その際、送料、梱包料、添え状の印刷費、名簿のシール作製費などが別途請求されます。およそ1件1,000円位の費用が目安です。

4、献本の方法について

特に厳密なしきたりがあるというわけではありませんが、最低限、相手先に対して失礼のないようにしたいものです。
まずは「謹呈」のしおりと、「出版上梓文」を作成します。
「謹呈」のしおりは、「謹呈 山田花子」という、短冊程度のもので十分です。
「出版上梓文」はこの本を自費出版しようと思った動機や、出版の苦労話などをさりげなく書き、また友人であれば近況なども添えるといいと思います。

5、後日の増刷は可能なのか

ほとんどの業者では制作した本のデータをいくらかの期間、保存しています。
この期間は業者により、まちまちです。
1か月程度のところもあれば10年程度保管しているところもあります。
このデータさえあれば増刷は容易に、かつ安価にできます。
増刷の可能性があるのであれば、その旨業者に告げて、データを確保してもらうよう依頼してください。

○流通・販売編○

1、この本、書店で売れるのか

あなたの本を書店の棚に並べることはできます。
しかしだから売れるということではありません。
むしろあまり売れないことを前提に計画を考えるほうがよいと思います。
また印税は10%程度ですから、多少売れたとしても回収額はしれています。
つまり、損をすることを前提に考えてください。
出版して儲けようとか、投資金額を回収するということはハードルが高い話になります。
売れる、売れないの分かれ目になる一つの大きな要因は、本の内容もさることながら、広告の仕方、規模によります。
どんなよい本でも、店頭で目にとまらなければ、だれも見てくれません。
また店頭に書籍が並べられるのは、長くて1か月、短ければ、1週間程度で回収されることもあります。
すべて書店サイドの裁量になります。
大手の出版社の場合は、「雑誌・新聞の新刊広告、電車の中刷り広告、など」なるべく多くの露出を試みます。
本当に売りたい場合は、少し初期費用が高くても、大手の出版社から本を出すことをお勧めします。

2、ネット書店(アマゾン)に出品したい

一般の書店に本を置いてもらうには、基本的には「取次会社」(東販、日販等)を通します。
つまり出版社→取次→書店の流れになります。
そこで少なくとも1000冊程度の本が事前に必要になります。
多くの費用をかけてみても、売れなければ最終的には在庫になってしまいます。
費用をあまりかけず、小部数で作り、かつ販売もしてみたいという方には、ネット書店がお勧めです。
アマゾンへの出品は誰でも出来ますし、手続きを代行してくれる業者もあります。
比較的少額の金額でネット上に公開されます。

3、自力で販売する

さきほど書店においても、なかなか売れるものではないというご説明をしましたが、やはり多くの方に読んでもらいたいのであれば、自分でもできる方法がいくつかあります。
 ①地元の図書館や学校などに寄贈する。
 ②集いなどを開き、その会場で販売する。
 ③新聞社やマスコミなどに寄贈し、記事として取り上げてもらう。
  等があります。

○番外編○

1、自費出版の種類について

自費出版には大きく分けて①個人出版、②企画出版、③共同出版の3種類があります。
個人出版とは文字通りの自費出版ですべての費用と責任を著者がもつものです。
企画出版は出版社が著者の企画を原稿料の名目で買い取り、製作費の負担は出版社がもつものです。
実際にはこういうケースはまれです。
共同出版は出版社が著者と協力して本を制作し、流通するというものです。
出版社が全額費用を負担できないが、出版社の名前で流通してもよいという程度のもので、費用は大半が著者もちという場合がほとんどで、実は個人出版と変わりないのが実情です。
誰しも自分の作品が褒められればうれしいものですが、甘い言葉には注意が必要です。
あまり多く本を作りすぎて、結果、在庫の山になっては、出版社ばかり儲けさせて、ご自分は相当な損害を被ることにもなりかねません。出版社の対応を冷静に検討してください。

2、そもそも自費出版ってなんですか

昔は商業出版が中心で、個人で本を出そうとすると大変な費用がかかり、また引き受けてくれる業者も有りませんでした。
昨今の印刷技術の進歩により、個人でも比較的安価に本を出せるようになりました。
またいわゆる出版ビジネスが厳しい環境に有ることから、ほとんどの出版社で個人の依頼を受けるようになりました。
昔と比べると出版のハードルが随分低くなっています。
もちろん出版に際しての一定のルールを守っての話ですが、自費ですので、好きな内容のものが出版できるメリットがあります。
商業出版では出版社からある程度、内容の修正が入ることがあり、結果として自分の意図した出来上がりにならない場合があります。
また、著書を持つということは、思わぬ交流が増えるなど、その人の人生を豊かにします。